健康と投資の意外な関係——FIRE4年目、57歳【前編】
私が毎朝1万歩を歩く本当の理由
こんにちは、前田嘉一です。
1991年に初任給で自社株投資を始めて、今年で35年になります。
そして、35年間の投資で、一番大切なものを聞かれたら、私は迷わず「健康」と答えます。
チャートでも資金でもありません。
なぜなら自分の身体と精神が崩れたとき、どんな良い銘柄を持っていても、正しい判断はできなくなるからです。
「身体が資本」とはよく言ったものです。
本当に銘柄でも資金でもルールでもなく、「自分の身体と精神」が投資の最大の道具なのです。
うつ病が教えてくれた「健康と投資の意外な関係」
うつ病になる直前の感覚
私は2001年、32歳のときにうつ病になりました。
出世だけを目指して猛烈社員として頑張りすぎて孤立し、社内すべてを敵に回してしまいました。
うつ病になる寸前は、
- 仕事のノルマの数字
- 得意先の顔
- 上司の評価
- 同僚の噂
——これらが毎日焦ってグルグル回り、持ち帰り仕事も増えて、だんだん夜が眠れなくなっていきます。
そして、ついに自分の意志が無くなり、自分が何者かさえわからなくなっていく。
そのうえでコンセントが抜けた扇風機のように精神が止まっていく。
食事・排泄のような最低限の生命維持はできていたようですが、歯磨き・入浴はできない。
そして記憶することもできないので一日がとても速い。
うつ病とはそういう危険なものなのです。
株式投資でも「同じ感覚」が来る
この危険さを知っているから、いつも「うつ病にならないこと」を最優先にしています。
株式投資でも、以下のような
- 焦り
- 思考がグルグルと回る
- 眠れない夜
うつ病前の兆候が来ることがあります。
具体的には、
- 惚れ込んだ株がまだ目標価格に届いていないのに欲しくてたまらないとき
- 証券会社の営業マンや夕刊紙の「爆益銘柄」情報に踊らされているとき
- リーマンショックで株価が下落し続けているのに何のプランも立てられずただ見ているだけだったとき
- すべて気持ちが浮足立っているとき
——この感覚は、うつ病前と同じなのです。
そして、こういうときは必ずといっていいほど失敗します。
なぜなら精神状態が不安定なとき、投資の判断は完全に狂います。
焦り・グルグル・眠れない夜。
この身体の感覚が来たとき、「投資をやめて休む場」の判断基準にしています。
身体が「恐怖センサー」になっているのです。
うつ病は人生の転換点だった
うつ病になったことで、出世だけを目指す猛烈社員から、自分の精神を守るために窓際族に異動して、そこで株式投資を21年して2億円でFIREしました。
そして、それが今4億円になっています。
うつ病を美化するつもりも、勧めるつもりもありません。
でも「うつ病にならないこと」を最優先にしてきたからこそ、ここまで来られたのも事実です。
私はこのうつ病の時間を「人生の転換点であり、最も重要な精神的な資本を形成した期間」として考えています。
だから35年間の投資で一番大切なものを聞かれたら、私は迷わず「健康」と答えます。
毎朝1万歩を歩く本当の理由
FIREした翌朝、カーテンを自分で開けた
FIREして最初の朝にやったことは、自分でカーテンを開けたことです。
そして、いきなりで眩しさに驚いて目がくらみましたが、だんだん太陽の光が気持ちよくてありがたいと感じてきました。
自然と散歩に出かけました。
夕陽も同じようにありがたかった。
近所の太陽でもこれほど綺麗でありがたいのかとわかりました。
「近所を太陽の光を浴びて歩きたい」
——これがFIREして一番やりたかったことだったのかもしれません。
地下に潜る瞬間に「もう働かなくていい」と感じた
21年間の窓際族人生、勤務先は地下ホームの駅にありました。
そしてその駅に近づくと地下に潜るため太陽の光が消え、心が憂鬱になる。
逆に帰宅時、暗いところからまだ夕方の太陽がある地上に出ると元気になる
——これを毎日繰り返していました。
ある朝、地下に潜って急に暗くなったとき、まわりの音がすべて消え、「もう働かなくていい」というメッセージが頭から身体の中心部にずしんと入りました。
それでFIREを決めたのです。
1万歩はノルマではない
今も毎日1万歩ほど歩いています。
そして歩数は決して義務的な数字にはしていません。
なぜならスマホに機能があり数値で可視化したほうが続くと思っているだけ。
だいたい1時間半から2時間を歩く。
この時間は
- 考える時間
- 感じとる時間
- 様々な可能性を選び取る時間
に当てています。
結論は別に出さなくていい。
ノルマで縛ると20代の猛烈社員時代のようにうつ病になってしまいます。
だから散歩での義務感を自分に課さないと決めています。
散歩が「相場との適切な距離感」を作る
今、散歩は「相場との適切な距離感」を作る機能を持っていると感じます。
そして公園のベンチでヒートマップを見るとき、歩いてきた後、太陽の光を十分に浴びた後だと感情が落ち着いています。
焦りや感情の不安定さがありません。
「のめり込まない」ための物理的な仕組みとして散歩が機能しています。
私にとっての散歩は、投資家としての精神衛生を保つための防衛システムです。
健康になるためではなく、市場の熱狂に飲み込まれて判断力を失い破滅するのを防ぐための、戦略的かつ生存本能に根ざした行為なのです。



散歩中に「投資センサー」が動く——ツバメと流木とヒートマップ
ツバメがいない——恐怖センサーが反応した
毎朝散歩をして4年目、地域のことが色々わかってきました。
そして初夏はツバメやカルガモの子育てを楽しみにしていますが、今年はツバメがいませんでした。
この異変に恐怖センサーが反応しました。
いつも起こることが起こらない、でも理由がわからない
——相場でも、これが一番怖いのです。
流木を追う——暴落の「底値確認」と同じ構造
最近は雨雲レーダーも欠かさず見ています。
ゲリラ豪雨後の雨上がりに散歩をして、河川の水量や濁り、そして流木の様子を観察します。
そしてゲリラ豪雨は相場でいう「○○ショック」と同じです。
事前に雨雲レーダーでプランを立てて、雨上がりの経過を追いかける。
そして流木の着地点が確認できたらパニックは終了
——これが暴落後の底値確認と重なります。
流木はどこにいくかわかりません。
千鳥足です。
でもその流木の大きさと流された距離で、市場のパニックがどこまで広がり、どこで止まったかを確認できると感じています。
「異変に気づく力」は日常観察から育つ
- ツバメがいないこと
- 街の信号機が薄型に変わっていること
- 流木が色々なところに漂着していくこと
——これはすべて、日ごろから関心を持っている習慣があるからこそ気づけます。
相場で大切な「恐怖センサー」——「異変に気づく力」は、鍛えるものではありません。
日常の観察から自然に育っていくものだと考えています。


まとめ:散歩は「生き残るための投資戦略」
うつ病の経験が、身体を恐怖センサーにしました。
FIREした翌朝の太陽の光が散歩の原点になりました。
そして毎日の散歩が、相場との距離感を保ち、観察力を育て、恐怖センサーを磨いてきました。
次の記事では、お酒・睡眠・57歳という年齢で感じる身体の変化——「身体管理=資産管理」という哲学の正直な現状をお伝えします。→【こちら】



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