窓際族21年・うつ病・薄給——それでも資産4億円になれた3つの理由【前編】
こんにちは、前田嘉一です。
私の資産は今、4億円を超えています。
でも私は、2001年から2022年の21年間、窓際族でした。
32歳でうつ病になり、自ら静かな退職を選びました。
給料は同期の中で最低水準。会社のまわりから「終わった人」「出世できない人」と陰で言われ、資産4億円とは最も遠い場所にいた人間です。
窓際族21年・うつ病・薄給——それでも資産4億円。
なぜこうなったのか。その理由を3つお伝えします。
かつての勤務先は私がFIREした半年後に他社に吸収されて消滅しました。
今の4億円という数字は、私が「終わり」ではなく「別の形で生き残った」ということを、冷徹な数字で証明してくれたものです。
「時間と自立」という、誰にも奪われない自由を手に入れた。
これが私の心の平和です。
理由①「仕組みで強制した」——意志の力に頼らなかった
初任給17万円、その日に10万円を消した
投資で物を言うのが「入金力」です。
高額な給与の職種でも、資本家の家庭でもなかった私には、圧倒的に不利な条件でした。
でも、強制的に入金する仕組みを作り上げました。
1991年4月15日、初任給は手取り17万円。
研修だけの約2週間で1ヶ月分がもらえたのです。
学生時代のアルバイトでは月7万円あれば十分でしたし、自宅通いだったので10万円は天引きできました。
10万円のうち、購入枠いっぱいの3万円は自社株を買い、残りは財形貯蓄や財形住宅貯蓄にしました。
給料をもらう前から10万円が強制天引きされる仕組み。
「最初からなかったもの」として感じられる仕組みです。
「ローンの練習」という発想
10万円の天引きを始めたのには、もう一つ理由がありました。
将来、住宅ローンを組むときの支払いの練習です。
いずれ住宅を購入して毎月10万円ほどの支払いがあると考えて、仕組み化しようと考えていました。
給料をもらってから自分の意志で積み立てるのではなく、給料をもらう前から天引きされる仕組みを作る。
意志とは関係ない仕組み。
これで、投資のタネ銭と絶対に使わない防衛資金500万円を作ることができました。
意志の力で節約しようとしたら、私は弱い人間なので失敗していたと思います。
時間もまた「仕組みで強制した」
これはお金だけの話ではありません。
時間でも同じです。
窓際族で静かな退職をして時間があったから、1万時間の投資の勉強ができました。
「1時間ちょっと×21年間=1万時間」
——どんな手を使ってでも出世した同僚には絶対にできなかったことです。
私は自分の意志が弱いことがわかっていました。
だから意志という頼りない部分から自分を守る盾として「仕組み」を作りました。
それが最も賢い戦略になりました。


理由②「勤務先を反面教師にした」——最悪のお手本が最高の羅針盤だった
「仕事をしているふり」で3,000社を分析した
私の窓際族の仕事のひとつが「社内LAN構築」。
と言っても、業者と現場で日程調整をするだけの伝書鳩のような仕事。
FAXのやり取りでほぼ終わりましたが、自分専用のパソコンがありました。
パソコンで「仕事をしているふり」をしていれば、会社も私を空気のように扱って安心できる。
そのふりの中身が、四季報CD-ROMのデータをエクセルに落として、ROE・PER・PBRなどの指標や財務状況を3,000社すべて並べ替えることでした。
時間はたっぷりありました。
四季報データをほぼ丸暗記して、3,000社すべてを「○○という会社」と一言で言えるようになりました。
これが投資家としての私の土台になりました。
勤務先のROEは「N/A」——判定不能という絶望
私が重視したのは「ROE・利益剰余金・海外売上比率」の3つです。
ROE(自己資本利益率)とは、どれだけ効率的に儲けている会社かを示す指標で、一般的に8〜10%以上が優良企業の目安とされています。
エクセルでROEを高い順に並べると、東京エレクトロン・TDK・キーエンスが上位に来ていました。
逆に勤務先は「N/A」——判定不能。
つまり儲けるどころか、債務超過の状態でした。
利益剰余金も海外売上比率も同様でした。
勤務先は上場企業全社の中でほぼワースト圏。
これまで夕刊紙が「倒産危険度ランキング」で勤務先の名前を載せていた理由が、自分の目で確かめられた瞬間でした。
「私がおかしいんじゃなくて、この会社がおかしいんだ」
この事実を見た瞬間、何かが解放されました。
20代に猛烈社員でうつ病になった理由がわかった気がしました。
ビジネス構造が間違っていたのに、私は内部から変えようとして、うつ病になったのです。
「この組織で戦うこと自体が無意味」
「私がおかしいんじゃなくて、この会社がおかしいんだ」
——それが、データ(客観的事実)によって正当化された瞬間でした。
窓際族での悲しみは「怒り」に変わり、怒りは「戦略(投資行動)」へと変換されました。
勤務先と真逆の数値を持つ東京エレクトロン・TDKに投資することを決めました。
苦しかった10年間——信じた会社の株が上がらなかった
ただ、実際は2003年から買い始めて、2013年のアベノミクスまで鳴かず飛ばずでした。
東京エレクトロンもTDKも、リーマンショック・東日本大震災を経てもなかなか上がらない。
勤務先も衰退する一方。
窓際族の薄給で節約を続けながら、子供3人が成長していく中で生活費も上がっていく。
信じた会社の株価が上がらない。
勤務先も変わらない。
自分だけが正しいと思っているのか、それとも自分が間違っているのか
——誰にも聞けない孤独の中で、それでも売らなかった。
今思えば、あの10年間の孤独こそが、長期投資の本当の試練だったと思います。
2013年、ようやく報われた
2013年のアベノミクスで株価が上がり始めました。
それと同時に、東京エレクトロン・TDKの株価は上昇し、勤務先は相変わらず低迷しました。
2017年に資産1億円を超えたころから、復讐心というものも少しずつ収まってきました。
そして、2022年、資産2億円でFIRE。
勤務先はFIREした半年後に他社に吸収されて消滅しました。
2026年7月現在で東京エレクトロンは50倍、TDKは19倍になっています。
勤務先という最悪のお手本があったから、最高の反対を買えました。
もしどんな手段を使ってでも出世していたら、儲からないビジネス構造の中で酷使され、この分析をする時間はありませんでした。
「勤務先は消えた。だが、私の羅針盤のほうが輝いていた」
——それだけは認められたということです。



まとめ:理由①②に共通すること
天引きという仕組みを作ったのは、意志が弱かったから。
勤務先を反面教師にして分析したのは、転職できるほど強くなかったから。
強かったら、仕組みに頼らなかった。
強かったら、転職して別の道を選んでいた。
弱かったから、仕組みに頼った。
弱かったから、窓際で分析し続けた。
次の記事では、理由③「売らなかった」
——弱さが長期投資を可能にした話と、3つの理由の共通点についてお伝えします。→【こちら】

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