スクリーニングの実際、冷徹な数字が教えてくれたこと——株を買う前に確認する3つの数字【後編】
こんにちは、前田嘉一です。
前編では「なぜROE・利益剰余金・海外売上比率という3つの数字に辿り着いたか」を、中編では「それぞれの数字が実際に何を教えてくれたか」をお伝えしました。
この記事では、3つの数字を実際にどう組み合わせて使っていたか
——スクリーニングの具体的な作業と、その先に見えてきたことをお伝えします。
四季報CD-ROMとエクセルで始めたスクリーニング
やり方はシンプルだった
四季報CD-ROMもヤフーファイナンスも、スクリーニングの手順は単純でした。
データをエクセルにコピペして、並べ替えるだけです。
四季報CD-ROMにもスクリーニング機能はありましたが、画面が違いすぎて会社のパソコンでは目立ちます。
だからエクセルに落として、フロッピーディスクか書き込みCDで持ち歩いていました。
エクセルなら会社で作業しても仕事のふりができました。
最初は四季報CD-ROMを「教科書」として使った
最初のころは、3,000社の内容を覚えるつもりで毎回四季報CDを買っていました。
1回6,000円以上していましたが、本当に勉強になりました。
やっているうちに3,000社のほとんどについて、一言で特徴を言えるようになりました。
「ここは世界シェアナンバーワン」「ここはキャッシュリッチ」「ここは○○グループの中核」
——そういった一言が自然に出るようになりました。
これが私の株式投資家としての土台になりました。
土台ができると「ノイズ」が消えていった
土台ができてくると、興味のある企業や得意な業界が絞られてきます。
ここまでくると、夕刊紙や証券会社の営業マンの情報は参考程度になりました。
心がふらつくことはゼロにはなりませんでしたが、明らかに少なくなりました。
そして「感情に左右されない冷徹な数字(ROEや利益剰余金)」だけが、薄給のサラリーマンである自分を守る「最後の砦」になっていきました。
ツールもやがてCD-ROMから紙の四季報へ、さらに無料のヤフーファイナンスへと移行していきました。
3つを「×」で掛け合わせる——スクリーニングの実際
「ROE×利益剰余金×海外売上比率」
いつも見るのはまず「ROE」。儲けの指標。これが一番好きです。
次に「利益剰余金」。潰れない指標。
そして「海外売上比率」。どこで儲けているかを見る指標。
私はこの「×」という組み合わせが好きです。
ベンチマークはいつも「自分の勤務先」。
勤務先との乖離が大きければ大きいほど魅力を感じました。
冷徹な数字で満足な数字が出せない会社に対して、復讐心がありました。
そして会社で言えない不満を、株式市場での「勝つこと」で発散させようとしました。
もうこうなると、株式売買での単なる利益追求ではなく、精神的なサバイバル術でもありました。
3つ全部が高い会社は「数十社」に絞られる
1つの指標だと100社以上ヒットします。
でも3つ全部が高い会社は数十社に絞られました。
選ばれなかった会社はどうでも良かった。
絞られた会社をリストアップして、一社ずつビジネス構造を調べていきました。
「どうやって儲けているか」を知ることが純粋に楽しかったです。
ハイテク分野に「魚がいる」とわかった
ビジネス構造を調べていくと、興味が「ハイテク分野」に集中していきました。
釣りで言えば「ここに魚がいる」とわかった感覚です。
具体的には「キーエンス」「TDK」「任天堂」「東京エレクトロン」など。
でもこれらはすでに多くの投資家が知っていて、値段も高かった。
ピカピカと輝くブランド物のバッグのようでした。
薄給の家族持ちサラリーマンだった私には、全部を買う資金はありません。
過去2年間のチャートを見て、その底値より下がるまで「指を加えて待つ」戦略をとるしかありませんでした。
「焦りが破綻を呼ぶ」とわかっていました。
貧しい投資家として、超慎重に生きていく生存本能でした。

「買わない理由を消す道具」としての3つの数字
スクリーニングの実際は「買う理由を作る」ためではない
ここで一つ、大事なことをお伝えします。
3つの数字は「買う理由を作る道具」ではありません。
「買わない理由を消すための道具」です。
ROEが低い会社は候補から外れます。
利益剰余金が少ない会社は外れます。
海外売上比率が低い会社も外れます。
この3つで「まず買わない会社」を大幅に減らしてから、残った会社をビジネス構造で深掘りする——これが私の順序でした。
釣りの比喩を使えば、3つの数字は「魚がいない場所に仕掛けを投げない」ための絞り込みです。
釣れる保証はない。
でも無駄な場所に時間を使わなくなります。
スクリーニングの実際、3つの数字は「現在も変わらない原点」
AIや新しい指標が登場する中でも、この3つへの執着は今も変わりません。
2026年現在、AIや半導体という新しいテーマが台頭していますが、私が最初に確認するのはやはりこの3つです。
どんな時代でも、「本当に儲けているか」「潰れないか」「成長市場で戦っているか」という問いは変わらないからです。

締め:3つの数字が教えてくれたこと
私にとってこの3つの数字はこう定義しています。
ROEは、会社が儲けようとする「意志」。
利益剰余金は、会社がこれまで稼いできた「歴史」。
海外売上比率は、会社が戦っている「視野の広さ」。
この3つを見れば、その会社が本気で儲ける気があるか、潰れない体力があるか、日本以外の世界で戦えるかがわかります。
これは投資の技術論ではありません。
勤務先がダメだとわかっていたからこそ、良い会社の定義が明確になった——という人間の話です。
窓際族という絶望の中で、数字だけが私の公平な仲間でした。
あなたが今持っている株、あるいは気になっている株の、この3つの数字を調べてみてください。
それだけで、その会社への見方が変わるはずです。



スクリーニングの実際について、そしてブログのご感想などがあればお待ちしています。
みんかぶマガジンの著者です →こちら
にほんブログ村

コメント