PER20倍の日経平均と眠れない夜|現金を握ってる理由【前編】

PER20倍の日経平均 FIRE達成とその後の人生
PER20倍の日経平均

PER20倍の日経平均と、眠れない夜【前編】——私が現金を握りしめている理由

こんにちは、前田嘉一です。

今、私の証券口座の現金比率は過去最高水準にあります。

買える銘柄はあります。資金もあります。

でも、動かない。

これは臆病なのか、それとも経験から来る直感なのか。

自分でもよくわからない部分があります。

この記事では、なぜ今の私が現金を握りしめているのか

——技術論ではなく、人間的な理由を正直にお伝えします。


  1. 毎晩寝る前にすること——15年間続けている習慣
    1. 天気予報を見るように、日経先物を見る
    2. 一番よく眠れるのは「差がゼロ」のとき
    3. 最近は1,000円台の変動が続いている
    4. 「市場の理不尽さ」や「制御不能な巨大な力」への畏怖を知るがゆえに
  2. PER20倍の日経平均という数字が「体に合わない」
    1. 私にとっての「安心域」はPER14〜16倍
    2. 今はPER20倍の日経平均——台風や酷暑のレベル
    3. 「上がっているのはわかる」でも「怖い」という矛盾
    4. 2006年ごろ、リーマンショック前の状況を思い出します
    5. 再び、あの「去っていく者の結末(破滅)」を自分の目で見なければならない
    6. 保有銘柄を否定することは「自分の投資人生を否定すること」
    7. 私は保有銘柄を「自分の子供」のように愛しています
  3. 「浮足立つ自分」が一番怖い
    1. 2002〜2004年の失敗——「株が欲しい病」
    2. キーワードは「中国」でした
    3. ルールを作った——「浮足立たない」ための仕組み
    4. 「焦り」はうつ病のサインでもある
    5. 会社のことより自分のことを優先する
    6. 浮足立っているときの自分と、うつ病になる直前の自分はよく似ている
  4. 現金を握りしめている間、何をしているか
    1. 「何もしていない」という焦りと戦い続ける
    2. 21年間の窓際族生活で、「何もしていない人」「出世をあきらめた人」「終わった人」という扱いに耐え続けた
    3. 梅の実、ビワの実、カラスの子育て
    4. 「新しい生命」への憧れ
    5. 私もまた「新しい生命」の一員
    6. 「強制的な待機」から「選択的な待機」へ
    7. バフェットの話が、21年間窓際族だった自分にしっくりくる
    8. いつも空気のような扱いで、時計と一緒に17時になるのを待っていた窓際族時代。
  5. まとめ:眠れない夜と、それでも待つ理由
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毎晩寝る前にすること——15年間続けている習慣

天気予報を見るように、日経先物を見る

私は毎晩、寝る前に「日経平均先物の値段」と「その日の日経平均終値」の差を確認してから寝ます。

この差で、明日の相場がどうなりそうか、自分なりに心づもりをしておかないと寝付けません。

もう15年以上続けています。2013年のアベノミクスのころから始めた記憶があります。

普通の人が天気予報を見るのと同じ感覚です。

一番よく眠れるのは「差がゼロ」のとき

毎晩、先物が上がっているか下がっているかを確認します。

一番よく眠れるのは、プラスマイナスがゼロのとき。

「明日は何も起こらない」という確率がゼロに近いと感じたときが、一番寝付けます。

最近は1,000円台の変動が続いている

ところが最近、この差が4桁——1,000円台になることが増えています。

2024年ごろから目立ち始めました。

上がるときも1,000円台、下落するときも1,000円台。

私の過去の感覚でいうと、相場がパニックになる水準なのです。

これを見ると「明日は何かある」と警戒して、寝付けません。

「変化=危険」という感覚に陥り、少しでもズレが生じるとパニックになっている自分がいます。

このままでは市場から追い出されてしまうという、存在論的な危機感があります。

生存本能が叫んでいる状態です。

「市場の理不尽さ」や「制御不能な巨大な力」への畏怖を知るがゆえに

相場に留まり続けてきた私は、「市場の理不尽さ」や「制御不能な巨大な力」への畏怖を知っています。

だからこそ、警戒し、怖くなる。

「何かある」と感じると、もう眠れません。

これまでの自分の直感が、もはや通用しないのではないか」という不安が、さらに増幅されます。

特に2024年夏ごろから、常に何かあるという状態が続いています。


PER20倍の日経平均という数字が「体に合わない」

私にとっての「安心域」はPER14〜16倍

日経平均を1つの銘柄として見立て、そのPERを確認する「日経平均PER」という指標があります。

通常、この数字はPER14〜16倍のレンジの中にいます。

これが私にとっての安心材料です。

このレンジ内にいて、日経平均と先物の差があまりないこと

——これが私にとっての「安心域」です。

夜眠れて、明日も何も起こらなそうな状態。

これが一番です。

ここからはみ出すときは、何かあるという警戒水準に入ります。

今はPER20倍の日経平均——台風や酷暑のレベル

今、日経平均PERは20倍を超えています

私の目には、相場は過熱(バブル)に振り切れているように見えます。

天気予報で言えば、台風や40度超える酷暑のレベルです。

対処しなければ、生命に危険が及ぶ警戒水準です。

「何かありそう」「何があるんだ」——それが頭の中でグルグル回ります。

「空が落ちてきそう」という、あるはずのない心配まで頭をよぎります。

この不安と強がりの感覚がグルグルと回り続けています。

「上がっているのはわかる」でも「怖い」という矛盾

今はAI関連株(半導体・電子部品)が上がっています。

私も東京エレクトロン、TDK、村田製作所で恩恵を受けています。

でも、何かが違う。

あまりにも上がっているので、上がり方が怖いのです。

2006年ごろ、リーマンショック前の状況を思い出します

不動産証券化で盛り上がり、金融株・建設株を担保にして同じ株をさらに買う「信用二階建て」という手法で資産が大膨張していました。

株ブログのブロガーたちが煽っていたあのころと同じ雰囲気がします。

その後、リーマンショックでほとんどのブロガーが更新をやめ、行方不明になったという噂が流れました。

まさに諸行無常の世界でした。

再び、あの「去っていく者の結末(破滅)」を自分の目で見なければならない

破滅者はいつも「調子に乗って」、最後は「敗者のレッテルを貼られる」——そういう残酷な運命を見てきた。

だから同調も助長もしない。

でもこういうときは決まって「自分が正しくて、周囲が狂っているのでは」という孤独感があります。

強がりの中で思い続ける孤独かもしれません

保有銘柄を否定することは「自分の投資人生を否定すること」

一方で、東京エレクトロン、TDK、村田製作所は、私が「将来にわたり成長していく」という見通しで買った株です。

それが見通し通りに上がっているわけで、「上がっているのも理解できる」という自分もいます。

正直に言うと、「自分の分析は正しい」と信じたいのに、「上がりすぎは危険」という論理が同時に存在する

——この自己矛盾があります。

私は保有銘柄を「自分の子供」のように愛しています

だからこそ、それを処分することはこれまでの投資人生を否定することのように感じてしまいます。

そして日経平均PER20台が続くということは、今までのルールが崩れ、自分の存在意義(市場を読む力)の消滅を意味します。

単にお金が減る恐怖ではなく、投資家としての自分が死んでしまうという実存的な恐怖があるのです。

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「浮足立つ自分」が一番怖い

2002〜2004年の失敗——「株が欲しい病」

かつて、個別株投資を始めたばかりの2002〜2004年ごろ、夕刊紙やSNS、証券会社の「ここだけの爆益情報」を信じて株を買っていました。

小型低位の鉄鋼株や海運株。

キーワードは「中国」でした

「中国関連なら何でも儲かる」「今買わなければ損」という意識がとても強かった。

結果は損失でした。

「株が欲しい病」でした。

証券会社の煽りのセールスについつい注文を出してしまっていたのです。

このころは最低限の単元しか注文を出していなかったので大損にはなりませんでしたが、ここで浮足立っている自分が一番危ないと気づきました。

ルールを作った——「浮足立たない」ための仕組み

それ以来、自分で買いたい企業を決める、ビジネス構造・財務構造・将来性を分析して企業を決定する、買いたい価格を決める、買いルールを守る

——この流れを徹底することにしました。

「浮足立つ自分」には、仕組みで対抗するしかありません

「焦り」はうつ病のサインでもある

私の感情は弱く、すぐに左右されます

これは身に染みてわかっています。

2001年にうつ病になり、どうなったらうつ病になるかもわかっています。

だから、いつも自分の感情と対話しなければなりません。

会社のことより自分のことを優先する

これも窓際族で時間があったから、自分の感情を観察する癖がついたことです。

「浮足立っていた自分」は実は、うつ病という心の病と向き合うのが怖かったのです。

だから投資で「勝つこと」で自分を認めるというシナリオに逃避していました。

一日でも早く勝てるギャンブル投資に走っていたのはそのためです。

浮足立っているときの自分と、うつ病になる直前の自分はよく似ている

どちらも「早く結果を出さなければ」という焦りに支配されています。

だから今、焦りを感じたら、それは買い場ではなく休む場だと思うようにしています。

良くも悪くも、出世レースという他者との競争から離れ、内面だけと向き合わざるを得なかった孤独が、この気づきをもたらしてくれました。

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現金を握りしめている間、何をしているか

「何もしていない」という焦りと戦い続ける

4月・5月は日経平均PER20への警戒から、ほぼ売買をしていません。

そして逆に株価は上がり続けています。

「自分は何もしていないのではないか」という焦りと、「もし下がらなかったらどうしよう」という絶望的な不安が湧いてきます。

これには、決して慣れたとは言いたくありません。

ただ、ひとりで耐える(下がるまで待つ)という覚悟ができています。

21年間の窓際族生活で、「何もしていない人」「出世をあきらめた人」「終わった人」という扱いに耐え続けた

自己肯定感の低下から耐えること、市場の変動による自己評価の揺らぎとも戦ってきました。

強くはないけれど、うつ病にならないレベルまで戦う心の強さはできています。

だから今は淡々としていられます

大きく下がったときに欲しいAI株も、すでに決めています。

梅の実、ビワの実、カラスの子育て

毎日1万歩の散歩をしています。

近所の庭の梅の実、ビワの実の成り具合や数を数えています。

今はカラスの子育てが始まり、親のカラスが狂暴化しているので、巣がありそうなところは歩かない。

まもなくカルガモやマガモの子育てが見られるでしょう。

海辺では産卵や孵化した小魚が泳ぐ姿も見られてきます。

生存競争、命の儚さと切なさ、命を守る親の強さ。

私が育った東大阪の町工場の路地裏、会社の出世レース、そしてバブルで浮足立って消えていった人たち——これらが重なって見えます。

新しい生命を見て、切なさを感じる時でもあります。

「新しい生命」への憧れ

株を売買しなくても、こういう景色には会えます。

休日は子供たちにスポーツコーチのボランティアをしていて、ここで自分も蘇生していくのを感じます。

株の銘柄発掘でも、新しいビジネス構造を持った企業が好きです

古い体質の会社の窓際族にしがみついていた反動で、輝いている新しい生命を好んでしまいます。

私もまた「新しい生命」の一員

古い自分(窓際族)を否定して完全にリセットされた新しい自分が歩き出しているからだと思います。

地元地域の隅々の良さを次の世代につなげたい。

そう考えながら、たまに株価やヒートマップをチェックする。

こうしてFIRE後4年目。

こういう街の状況に慣れてきたかもしれません。

「強制的な待機」から「選択的な待機」へ

こうやって、株が動くのを待ちます。

待てるのが個人投資家の特権だと思っています。

バフェットの話が、21年間窓際族だった自分にしっくりくる

バフェットのバッターボックスでホームランボールを待つという話が、自分には妙にしっくりくる。

リーマンショックのときは何も準備していなくて恐怖に怯え、結果的に何もできない「強制的な待機(放置)」でした。

つまり恐怖で動けず、気づいたら待っていた状態でした。

今は、恐怖ではなく理由があって待っています。

この違いは大きい。

同じ「待つ」でも、前者は「逃げ」で、後者は「構え」です

PER20倍の日経平均 ヒートマップ
PER20倍の日経平均 ヒートマップ

いつも空気のような扱いで、時計と一緒に17時になるのを待っていた窓際族時代。

時計を見つめ、周囲の笑い声を聞きながら、会社での自分の存在意義を問い続けていたあのころ。

もう待てる力は十分つきました。

おそらく出世していたら、近所の散歩も、梅やビワの実の実り具合も、小鳥や小魚の様子も気にも留めなかったでしょう。

株式投資と、その後のこういう時間を作ってくれた窓際族に、感謝しなければなりません。

今こうして平穏にいられるのは、「窓際族」としての孤独と耐性を身につけ自然の中で「生」の循環を感じて心を保っているからかもしれません。

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まとめ:眠れない夜と、それでも待つ理由

寝る前に日経先物を確認する15年間の習慣

PER20倍の日経平均という「体に合わない」数字

浮足立つ自分への警戒

そして梅の実を数えながら待つ毎日

これが今の私の正直な姿です。

次の記事では、私が「買い」と判断する瞬間はどんなときか、そして万が一このまま上がり続けたらどうするかの正直な葛藤をお伝えします。→後編(こちら

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自己紹介
53歳でFIRE達成。専業投資家・前田嘉一の投資実績と人生観を公開。心の余裕と仲間づくりが鍵。

PER20倍の日経平均について、そしてブログのご感想などがあればお待ちしています。

みんかぶマガジンの著者です →こちら

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